木々の中の暮らし
中津川市H様邸
施工期間:1ヶ月
- お施主さまの想い
- ・子供たちに自然を身近に感じてほしい
・キッチン、リビングから子供たちの遊び姿が見えるように
・家族で楽しむ畑や果樹が欲しい - 主な植栽
- ・アオダモ、ジューンベリー、マルバノキ、コナラ、ウラジロガシ
・アジサイ、ムラサキシキブ、シラン、リンドウ - 「子供たちに自然を身近に感じてほしい」
庭をつくるにあたってお施主様が最初に言ったのがこの言葉でした。
家のまわりに木々があって子供たちが駆け回るそんなイメージを話し合いました。
木々が成長し、木陰をつくり、その下で子供たちがどんぐりを拾ったり花を観察したりして遊ぶ...そんな庭を提案させていただきました。
木々に囲まれた庭、外回りに植えた高い木やアプローチの形などで、どの位置から見ても空間が広がって見えるように植栽配置をして、数年後には高い枝で自然な木陰ができるように樹木を選択しました。 - プランを練る中で「キッチンやリビングから見える位置に子供たちの遊び場を」という希望があり、ウッド デッキの前に芝生スペースを設けました。
御施主様自作のブランコを設置した芝庭は、子供たちの遊び 場の一つです。
庭先でお客さんを呼んでBBQをしたり、いつも庭のある暮らしを楽しんでいただいています。 - 雑木や芝生メインと聞くと現代的な庭に感じてしまいがちですが、建物は立派な和の雰囲気のある和モダンな家でした。
使用する樹種は日本に自生する植木を使い、アプローチはたたき風、あえて茶庭に使う蹲(つくばい)を組みました。蹲といっても様々で、わざと自然石の水たまり石(四国原産の庵治石)に鵜沼産の割栗石などを使ってちょっとした流れ(庭の中につくる小川)をつくりました。自然石のゴツゴツとした雰囲気が自然のダイナミックさを感じさせてくれます。
和モダンな家と雑木や芝のバランスをとり自然を感じる庭にするため、今回張った苔はお寺によくある杉苔ではなくハイゴケという野山にあるものを選びました。 - 子供たちが木々のなかを探検できるよう庭の中に小道を作りました。
その小道にも日本庭園の飛び石や延べ段(細かい石で作る石張りのアプローチ)を使いましたが、形をはっきりさせず、形を崩し苔に覆われた自然を感じられるようにしました。
小道の中にはどんぐりの木やハート形の葉のなるマルバノキなどを手の届く高さに植えました。 - 家族で畑がしたいということで庭の隅に畑を作り、休日には家族で畑や花植えを楽しんでいただいてます。
子供たちと、記念に果樹を植えたいということで姫リンゴの木を植えました。
子供たちは毎年成長を楽しみにしてくださっているようです。 - 今回のお庭では子供たちに自然を感じてほしいということで、子供たちにも沢山庭づくりに関わっ ていただきました。
下草を植えたり苔をペタペタ張ったり。
パズルをするのが大好きな子供たちはパズルと一緒だよといったら自分で考えながら上手に一生懸命張ってくれました。
自分たちが一緒に作ったお庭で沢山遊んで大切にしてほしいです。
毎年、剪定に伺い木々の成長をみるだけでなく子供たちの成長を見るのが楽しみです。 - 沢山の雑木を使い木々の中の暮らしを感じる自然を表現しました。現代住宅のデザインの中にも伝統的な和の雰囲気を持つ立派な建物とバランスをとるため、庭も自然風の中にあえて和の茶庭に使う蹲(つくばい)などの要素をいれ建物との調和を大事にしました。
- お施主さまからの声
- 普段から仕事で建築に携わっている僕が、家を建てる中で一番やってよかったと思えることは庭造りです。
私たちは庭造りで、庭を子供達が自然を感じながら遊べるような空間にしたいと漠然と考えており、福茂さんに“子供たちに自然を身近に感じながら遊べる庭”を要望させてもらいました。
こんな大雑把な要望から、和風のテイストの外観にも合うような、子供達が遊べる庭はどうしたらいいか、たくさんのアイデアを出していただきました。
例えば、庭の中を抜ける飛石の小道、つくばいから続く小川などです。
和テイストの家の外観に合わせながらも、和風庭園ではなく、子供も遊べるポイントを上手く取り入れてもらいました。
ここは、さすが京都で修行された庭師さんだからこそのアイデアだと感じました。
正直な話、庭師さんのような職人さんとなると、無口で仕事を頼んだら後は任せるだけみたいなイメージを少し持っていました。
しかし福茂さんは、木の特徴や手入れの方法を丁寧に教えて頂いたり、庭造り中にも、”お子さんと 一緒に作れる庭造りしましょう!”という事で、一緒に苔を張ったり、りんごの木を植える作業をさせ てもらいました。
子供達にとっても貴重な体験になったと思います。
福茂さんから提案してもらった、小道や小川は子供達とって最高の遊び場となっています。
庭造りをしてみて、意外に良かったのが、庭の草むしりです。
庭を作る前は草も生えるし管理が大変だろうなと思って いました。
休日に庭の草を取るのですが、その時間は不思議なぐらい無心になれ、草むしりを終えると達成感と心のリフレッシュができます。
草むしりではなく、庭いじりと言い換えても良いかもしれません(笑)。今では庭いじりは大切なルーティーンとなりました。
メンテナンス性重視でコンクリートや砂利を敷いた外構だったとすると、今の生活はなかったと思います。
子供達や自分自身にとっても、この豊かさは庭でしか作り出せないものだと感じています。
建物と庭が完成し、この家での生活が始まると庭が一番心地よい空間になりました。
庭という空間を造って本当によかったと思います。 - 施工後
- それぞれの木々や草花の見所や開花期などを描いた図を提出させていただきました。 今回施工前からご家族と沢山話をして、一緒に花や苔を植えてとても楽しく施工できました。今 はお客様に見てもらう庭よりも家族で過ごす時間を大切にされる方が多いなと感じます。